セアカゴケグモ等ゴケグモ類に関しては、国内でも様々な話題が出ています。
20数年前までの日本列島は「毒グモ」とは無縁の世界でした。1995年の降って湧いた「毒グモ騒動」以前に毒グモ(毒性が特に強いクモ)に関して十分な知識を持っていた国内のクモ学者は4人だけでした。
私を含めて、大多数の日本のクモ学者の認識は、
①海外には、時にヒトを死に至らしめるような強い毒を持ったクモが存在する(らしい)。
②そのような「毒グモ」の情報の中には、誇張や創作が混じっている例が多い。
の2点でした。はやく言えば、どのクモが本当に危険な毒グモで、どれがガセなのかの区別自体が理解されていませんでした。
1995年に、世間が一旦「こりゃ大変だ」と騒いで、直後に「毒グモなどは幻想だ」と冷えてしまったのもこのためです。研究者の多くも、行政担当者も、マスコミ関係者も多分に憶測でものを言っていたというのが「騒動」の実態です。また、クモ学者の中で楽観論を唱える人がありましたが、セアカゴケグモを②のケースと即断しているケースがほとんどです。
私は現在、以下のようなテーマを温めています。
・セアカゴケグモの毒性に地方差はあるか?
・日本国内で毒性は弱まるのか?セアカゴケグモは本当にオーストラリア原産か?
・日本列島にゴケグモ属の在来種はいるのか?
・1995年の「騒動」時は上陸何年目か?
・「ゴケグモ」という和名は女性蔑視か?
等々です。どうか御期待ください。
なお、煩雑になるのでブログ上ではロジックや出典を省略することがあります。詳細は研究誌上に小論文として発表していきますので、そちらも御案内します。
論争には飛入り歓迎です。新しいテーマを引っ提げて、参入してくださるのは、さらに大歓迎です。